« 再読 世界 第674号 特集「学力低下」 | トップページ | 読了 資本主義はなぜ自壊したのか »

読了 日米地獄へ道連れ経済

仏暦2554年05月30日 月曜日

副島隆彦、2010年12月20日、日米地獄へ道連れ経済―”どん底”は2012年!(帯:日本の金持ちたちは衰亡するアメリカ帝国にいつまで貢ぎ続ける気か!)、祥伝社


1 副島隆彦の「5つの金融・経済予言」
 ○ 円・ドル相場
 ○ ユーロとドルと円の関係について
 ○ 日米の株価
 ○ 金利について
 ○ 金と銀
2 水増しマネーが引き起こす大暴落
 ○ ジャパン・ハンドラーズの手先=官僚たちが日本を動かしている。
 ○ 日銀はインチキ債券投資屋に堕してしまった
 ○ 通貨の水増しが激しいインフレを招く
 ○ REITもETFも仮想市場だ
 ○ 日銀総裁自らがこぼした異例の世界に入る金融
 ○ 日本の資金はアメリカの不動産市場に注ぎ込まれる
 ○ アメリカは無理やり株価操作を行っている
 ○ モノラインの破綻が重大な危機の引き金となる
 ○ そして米不動産市場は急激に崩れていく
3 総額1000兆円の資金貢ぎ
 ○ 恥知らずで違法の為替介入(円高阻止介入)が行われた
 ○ 円高介入と非不胎化政策の大問題
 ○ やがてアメリカは実質デフォルト宣言をする
 ○ 日本の資金をふんだくりに来たシュワ
 ○ 日本からの新幹線技術導入がアメリカでなかなか決まらない理由
 ○ 日本がアメリカに貢いだお金の合計額はもうすぐ1000兆円になる
 ○ 米10大金融機関は40兆円を実損として処理しなければならない
 ○ 暴露されたFRBの株価操作
 ○ ジョージ・ソロスの警告アメリカ経済は崩れる
 ○ 米二大住宅公社のデフォルトはいつか
4 亡び去る経済学と言う宗教
 ○ IMF専務理事が危惧した世界通貨戦争
 ○ 敷かれつつある中国包囲網
 ○ やがて1人民元=30円の時代がやってくる
 ○ 中国が売却した分の米国債を肩代わりして買う日本
 ○ 米軍のイラク撤退とユーロ暴落は関係する
 ○ なぜトルコとブラジルの経済が発展するのか
 ○ 景気は貧しい層への給付資金によって回復する
 ○ もはや経済学は亡び去った
 ○ 財政政策こそが経済政策である
 ○ 経済学は宗教であると断じたフィナンシャルタイムズ誌
 ○ ポリシーミックスの虚妄
5 増税を扇動する者たちの正体
 ○ 7年前歳代のアメリカへの資金貢ぎ行為が行われた
 ○ 通貨マフィアの告白
 ○ 本当に日米間の金利スプレッドで利益を得たのか?
 ○ 税法学者という新たなるジャパンハンドラーズ
 ○ 国は税金のふんだくり方しか考えていない
 ○ 河村たかし名古屋市長の減税政策を断固、支持する
6 アメリカ破産の日
 ○ 貿易収支の数字を見れば、円高ドル安恐怖症も消える
 ○ オバマの景気刺激策には財源の裏づけがない
 ○ 破綻寸前のシティバンクを米政府が肩代わりしている
 ○ やっているのは10年前の日本の不良債権処理と同じことだ
 ○ 米金融機関の焦げ付きが次々と明るみに出てくる
 ○ アメリカ破産への道
 ○ 追い詰められたオバマ大統領にヒラリーが取って代わる
 ○ 有害金融商品に騙されないために
 ○ グロソブの危険性を、誰も書かない
 ○ 私に寄せられた若い銀行員からのメール

 ここ何年もの副島節であるが、何しろ当たり続けているのであるから彼の根本理論乃至前提が妥当であるとしか認識しようがない。

 従来著書とは幾つか変化がある。まず論調であるが、これまでは「日本の経営者なり金持ちたちよ、目覚めてアメリカから独立しよう、あなたがたに私副島は情報と知識を与える…」と言う調子だったのが、500万人はいる日本の金持ちたちが一人あたり2億円程度の損をしないと日本は目覚めないだろう、と吐き捨てるような調子に変わった。帯は未だに”いつまで…”と記されてはいるが。副島はいよいよ孤独になってしまった。

 とは言え、この予想が当たるならば、日本にとって非常に好ましい事態だと言えるだろう。副島はそちらの領域には殆ど筆致を及ぼしていないが、日本における大出血には2大ドメインがあって、一つは副島が記す経路、もう一つは一票の格差によって大きな力を得ている田舎地主(食料をまともに生産していない偽百姓たち)への地方交付税及び各種補助金支出だからである。今や、医療費すらこれら”本来そこにいるべくもなかった人たちの健康を維持するため”に支出される代物になってしまっている。このインチキ百姓共がグロソブ等を大量に購入して蓄財している(※蓄財できるならば、農業保護なぞ必要はない筈なのだが)のはどうやらかなり確かのようだ。副島が指摘する怪しい債券を購入しているであろう層には、都市部で地主として収奪を続けている名ばかりの百姓たちも含まれる。この層については副島は旧著で「六本木でさえ農協があって、農業を全くしていないのに多くのビルを持って会議ばかりしている驚くべき人たち云々…」と記している。これら二つのドメインが大損失を被るのである。

「悪銭身につかず」

上手くすれば、これらの連中は潰れる。日本はより良く判断し、働く人たちが生き生きと活動できる国になるかも知れない。

 フレディマック等が破綻した場合に農林中金、三菱UFJ、日本生命、野村證券が抱えるであろう損失の見積もりは当然ながら更に大きくなった。最悪の農林中金では15兆円だと言うのだからただ事ではない。実のある目に見える巨額な対象と言う事であえて挙げれば、自衛隊を丸々2年以上運用し、新規装備品の購入も続けられるだけのカネが農林中金だけで消えてなくなる(〓アメリカに掻っ払われる)と言うのである。

 河村たかし名古屋市長が議会と対決している件を、河村市長が減税をしようとしているので素晴らしいとしているが、何しろ名古屋で何が行われているのか具体的に記されていないし、マスゴミは例によって必要な情報を伝えないから、はなはだ分かりにくい。ネットを漁ってみると、どうやら名古屋市では例によって政治屋と公務員たちが結託して市財政を食い物にしていると言う事らしい。食い物にするパターンと言うのはようやっと廣島にも見えてきたのだが、
 1 お仲間への補助金等のばらまき
 2 役に立たない機関や組織を作り、そこに税金を流し込み、お仲間を就職等させる
と言うのが大雑把な流儀のようだ。常に”お仲間”で利益を回すと言う事が重要である。名古屋市民とか日本人全体、と言うのは、このような卑小な連中においては決して”お仲間”になる事はないのである。さて、名古屋市の場合、2が盛大に行われているようだ。

 蛇足ながら、廣島が以前住んでいた東京都国分寺市の場合、偽百姓たちにカネを散蒔く一つの方法として「都市緑化」がある。これと言う緑滴る地域として作り込まれているのでもない、単なる生産性の低い畑、それも出荷されるかどうかも怪しい”植木畑”を”緑地”だとして指定し、それに対して補助金を注ぎ込むと言う方法である。風が強い乾燥した日には、その”緑地”から盛大に砂塵嵐が巻き上がったものである。砂塵嵐なぞ、短波ラジオの気象通報に登場するテチューヘとかにだけ起こるものだと思っていたのだが、いやはや素晴らしきかな、ニッポン。そして、良くもまぁ、悪事にだけは頭が働く事よ。

 今ここに至ってもアメリカへの貢ぎ物が続けられている事を様々に指摘している。例えば、円高への市場介入($の買い支え)はそもそも世界的な通貨安戦争を招き兼ねない国際協調違反もいいところだと言う指摘もさる事ながら、それによって日本のお金が実質的に$に吸い取られていく事が問題だとしている。

 カリフォルニア州への新幹線売り込みに際して、その資金は50年100年モノ・カリフォルニア州債を日本の鉄道関連特別会計が買い込んで提供し、もって売り込みを行っていると言う指摘も興味深い。カリフォルニア州に限らず、今やアメリカのクルマ社会は完全に破綻して高速鉄道を必要としているのに、それがカネの不足もあってなかなか進展しないとし、その原資として日本がまたカネを吸い取られたのだ、とする。カリフォルニア州の財政がほぼ破綻状態なのは今や良く知られている。アメリカ保守の牙城的メディアであるNewsWeekですらそれを認めているのだ。そこにお金を注ぎ込んでも返ってこないとの指摘は、今や穏当な意見に過ぎない。

 読者は、筆者のこの指摘からもっと重大な事を読み取るべきだろう。それは、アメリカのクルマ社会そのものが破綻していると言う事は、アメリカの生産システムどころか日常生活システムすら破綻していると言う事である。道路を野放図に広げて作った国土そのものがあまりのコスト高で役に立たなくなっている、と言う事である。例えばそれは、廣島がしばしば指摘した事だが、アメリカの住宅価格は更に低下する、と言う事でもある。

 より重大なのは、本書にも明記されているように、アメリカは製造業が壊滅しており、そもそも幾ら社会投資をしても返済できるアテがない、と言う事だろう。アメリカは金持ちたちに吸い尽くされて、すっかり生産力を失ってしまったと言える。

 勿論、このまま行けば、次は日本の番だ。それも、そう先の話ではない。筆者はまだ諦めていないのだが…。

 チャイナに対する見解は相変わらず支離滅裂だ。本書では、膨大なチャイナ国営企業の赤字はどうなったのか?と言う疑問を率直に呈している。この問題を提起した論者は希だろう。この問題があるだけでも、チャイナの行く末には相当の疑問符をつけて然るべきであろう。

« 再読 世界 第674号 特集「学力低下」 | トップページ | 読了 資本主義はなぜ自壊したのか »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 再読 世界 第674号 特集「学力低下」 | トップページ | 読了 資本主義はなぜ自壊したのか »

最近のトラックバック

2017年5月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
無料ブログはココログ