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読了 グリーン革命

仏暦2552年07月04日 土曜日

Thomas L. Freedman,2008,Hot.flat and crowded - Why we need a green revolution and how it can nenew America.
邦訳:伏見威蕃、グリーン革命(上下)―温暖化、フラット化、人口過密化する世界、日本経済新聞社

 アメリカオバマ政権が”エコ・バブル”を起こそうとしていると言う指摘は、何も廣島のものではない。オバマ政権の登場に合わせるかのように出版された本書及び筆者の類書は、当然最初からデマゴーグの類の可能性を考えるべきであり、一読したところ実際そのとおりであると判断される。

 本書は分厚いものの趣旨は簡単だ。エネルギー節約的で知的な社会を作る事でアメリカは再び世界から尊敬され、世界をリードし、経済的にも充実した国になれる、と言うものである。アメリカはその理念である自由と民主主義を世界に広めなければならないしそれが世界の利益にもなる、と同時平行で主張する。

 だが、この希望的未来は現実には全く間違っている。アメリカは国債”だけ”で7兆$もの発行残高があり、これは更に急増している。これに、年金、医療保険、地方債、政府保証債等を加えたらば、アメリカ政府全体の負債だけで一体幾らになるのか、正確なところを示した識者はいない。凄まじい額になる、と言うだけの事は明らかである。そして、民間部門の更に天を摩するばかりに積み上げられた負債!これまた本当の所幾らになるのか判然としない。

 総じて、アメリカ合衆国は官民共に破綻状態にあるのだ。ただ、アメリカ$が機軸通貨である、と言うだけで辛うじて命脈が保たれている。この状態で”エコ”な社会にアメリカを作り替えるためのカネを誰が出してくれるのか。

 所謂、エコな社会が持続可能性がより多いと言うのは概ね事実であろう。だが、エコなアメリカ社会が今よりも生産的であると言う保証があるのか?そもそもアメリカ人は実に働かない人々であるのは、GMの労働者を見れば十分だろう。サブプライム住宅を買い込んでさっさと破綻した貧困層を見ても同様だ。彼らは自分の給料でどうしてそのような価値あるものが買えると信じられるのだろうか?

 本書は分厚いものの、エコ社会のアメリカがどのような形になるのかのイメージの記述が案外に乏しい。例えば日本の場合には余りにも劣悪な住宅環境と都市計画ではあっても、基本的にコンパクトだ。そのような”貧乏”な国にならざるを得ない、と言う事が明記されていない。

 ちなみに、そのような都市国家を本気で作る場合、これまで作ってきたアメリカの住宅の大部分は役に立たない事も附記しておこう。これは…アメリカから世界を襲った”住宅バブル”のクラッシュが更に激しくなる、と言う事ではないか。

 本書が”記していない”事は他にもある。あたかもブッシュ大統領時代にだけアメリカは攻撃的で侵略的であったかの如く記しているが、実際にはベトナム戦争、パナマ侵攻等々、アメリカが直接行った軍事行動は実に多い。大量消費社会についても、それ第二次世界大戦を過ぎた頃から始まっていた事である。現在のアメリカの”悪徳”はかなり根源的なものである。

 自由と民主主義を筆者は頻りに強調するのだが、それが財における公平とか平等を多分に含まなければいけない事は明らかである。だが、極めて貧富の格差が大きい国であるのもまたアメリカであり、悪い見本をたっぷりを世界に例示していると言うべきだろう。なお、この貧富の格差も大きくなり始めたのは随分前からでもある。

 細かい点を論えば、筆者はイスラエルをさりげなく擁護・肯定している点も問題である。この国が犯した行為は、既にアウシュビッツ並みだと多くの人々から認識されている。それが分かっていないのは、イスラエル人と日本人、そしてアメリカ人だけだ。

 同様に細かい点であるが、アメリカ国債を中国が最も強力に買い支えているように読み取れる記述も愉快ではない。それは、少なくとも本書が発刊された時点ではまだ日本だったのだ。

 以上のように、本書はかなり悪質としか言い様がないデマゴーグに満ちている。本書は、オバマ政権が推進するエコバブル、つまり

「アメリカはエコになって産業も社会も復活します、だから投資をぼんばん寄越しなさ〜い!」

と言って、世界中のおめでたい人々(※中でもおめでたいのは日本人である)からカネを掻き集め、やがて

「お〜、予測できない危機が発生しま〜した〜。お金、返せませ〜ん!」

と手を広げ、裏で舌を出す壮大なごまかし、を支援するために書かれたとしか言いようがない。

 まさにそのようなバブル崩壊、つまり「お〜、お金返せませ〜ん!」と言う事が丁度1年前に引き起こされたばかりではないか。その借金のカタに、例えばアメリカ人は、下品な話ではあるが娘たちを差し出したり、はたまた自分たちの領土を差し出したりしただろうか? 全く否!!!

 と言う訳で、本書が世の中に尤もらしい顔をして普及する事を速やかに防止するために、この記事はかなり荒っぽく作成された。最後に一言


「働かざる者、食うべからず」

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