「中華帝国はアジアの人々からまるで人望がない」と言うことを英米はまるで分かっていないらしい、と言う事について


 北朝鮮がああのこうの、シリアがどうたらこうたらで、これらの一連の動きを”本気”だと取る人たちには妙な緊張感が高まっているようです。だが、

「アメリカは、財政を始めとする絶望的な各種赤字によって最早世界の警察官はやれない。オバマもトランプもそう言っている。」
「アメリカは、軍事技術が世界にすっかり拡散したためにワンサイドゲームで勝てなくなっており、最早世界の警察官はやれない。」
「よって、世界は嫌でもアメリカ一極から多極化せざるを得ない」

と言う絶対的な動向があります。アメリカはシリアにおいてはプーチンさんを相手に、北朝鮮においてはシーさんを相手に、地域の覇権を譲る際の条件闘争を延々とやっている、と見るべきです。

 ところが、管見するに、アメリカとイギリスは中国のアジアにおける位置づけにおいて根本的な間違いをしでかしているな、と思えます。両国共に中国→中華人民共和国に覇権を譲り、

「中華人民共和国がアジア全域を宜しくコントロールして、もって自分たちが金儲けができる環境を維持し続けてくれること」

を期待しています。アメリカは、宜しくコントロールするための軍事費に潰され、壊滅的な財政赤字を背負い込んでしまったからです。ここで英米は、

「中国は数千年に渡ってアジアの宗主国であったのだから、アジアの連中は中国が本気を出せば大人しく付き従うだろう」

と言うとんでもない誤認をしているとしか思えない所が多々有ります。日本にも

「中国こそが長年世界の覇権国であったので、英米の覇権はほんの一時期だけだったから、中国が世界をコントロールするのは妥当である」

と言った議論をする人は結構いるものです。

 だが、二つの点でこの考えは全く間違いです。

 第1に、中華隷属国根性が染みついているらしい韓国を除けば、周辺国で中華帝国に悩まされてこなかった民族や国はないのであり、実は”中華”と言うのは実に疎ましい存在なのがアジア人の密かな常識だ、と言う事です。中華帝国は2000年に渡って周辺諸国に侵略を繰り返してきて、その成果として少しづつ”中華”の領域が広がってきています。清などのように中華に侵略をすることで逆に自分たち自身が中華の一部になり、やがて逆に中華に支配されるようになる…と言う妙な歴史まで繰り返されています。

 もう一つは、そもそも中華人民共和国自身が、長年の共産主義思想を中心とする国造りにおいて、自分たちがアジアの宗主国であると言う意識を多分に捨て去った所がある、と言う事です。マルクス主義においては、旧時代の帝国なぞ唾棄すべき存在ですし、そもそも国家なぞは所詮は支配階級がこさえた人工産物であると言うのが大前提な訳です。

 英米の、中国によるアジアのコントロールと言う夢のより重大な間違いは、

「そもそもアジア諸国は一つにまとめようもないほど、それぞれの国は巨大で独自の歴史がある」

と言うことです。日本は1億2千万人の人口がある。インドネシアも1億人台。こんな巨大な国家は欧州にはありません。韓国あたりでも、欧州では大国の扱いになってしまいます。タイとカンボジアとミャンマーとベトナムは順次隣接した国ですが、それぞれの文化と歴史はまるで異なっており、言うなればイギリスとロシアよりももっと差が大きい感じです。

 英米始め欧米の人たちは、”アジア”と一括りにするレトリックの自縛からいい加減解き放たれるべきでしょう。

 ではでは、また。

«読了:フクシマの荒廃

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