読了 最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか


著者   :James R. Chiles
発行年  :2001
題名   :Inviting Disaster:Lessons from the Edge of technology
雑誌名・号:
発行所  :HarperCollins Publishers,Inc.
価格   :

邦訳:高橋健次訳、2006.10.26、最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか、草思社

0 より巨大に、より高エネルギーに
 〓 われわれは巨大な機械の中で生きている
 〓 巨大システムを手なずける人々
 〓 「マーフィーの法則」はほんとうか
 〓 マシンフロンティアの物語を聞け
1 信じ難いほどの不具合の連鎖
 〓 嵐の中で沈没した洋上石油掘削基地
 〓 最新技術に不釣り合いな乗組員たち
 〓 その夜、何が起きたのか
 〓 誰もポンプの秘密を知らなかった
2 スリーマイルアイランド原発事故
 〓 現実を見ず、飛躍した結論を出す
 〓 蒸気機関としてのスリーマイルアイランド原発
 〓 出口をふさがれ、大量の熱がこもる
 〓 蒸気が漏れ続ける圧力釜
 〓 「巨大で意味のない恐怖』に取り付かれる
 〓 事態を見抜き、解決した男
 〓 ノーマルアクシデントと高信頼性組織について
3 「早くしろ」という圧力に屈する
 〓 チャレンジャー墜落直前に警告を発した男
 〓 警告は何故黙殺されるのか
 〓 巨大飛行船への過大な期待と開発競争
 〓 『ソリッドな燃料、ソリッドな技術」
 〓 凡ゆる面で宇宙定期便は不可能だった
 〓 止められなかった悲劇
 〓 漠然とした不安を現実化させたものは何か
 〓 宇宙旅行の危険を認めるべき
4 テストなしで本番にのぞむ
 〓 全く役に立たない最新式魚雷
 〓 もったいなくてテストが出来ない
 〓 あらゆるものを疑った原潜の父
 〓 テストで壊すこととタイプライターの発明
 〓 ハッブル望遠鏡の最悪かつ予測可能な問題
 〓 ワッシャーをかませてごまかした
 〓 あらゆる不具合の兆候を無視し続ける
 〓 火星探査の相次ぐ失敗
 〓 危険過ぎる極限状況のテストを避ける
 〓 上昇中のシャトルに異常が起きた場合の操作
5 最悪の事故から生還する能力
 〓 穴があいたジャンボ機を着陸させた男
 〓 生存可能領域を広げる努力
 〓 機長はいかに危険を予見し、危機に備えたか
 〓 貨物室の外開きドアの問題点は報告済みだった
 〓 手負いのジャンボ機を着陸させた離れ技
 〓 緊急事態から脱出するために乗客がすべきこと
 〓 自分だけはうまくやれる、という幻想
 〓 危機が起こる確率をどう評価するか
 〓 4000tのロケット燃料が燃えた火事
6 大事故をまねく物質の組み合わせ
 〓 水と電気と事故の親密度
 〓 あまり知られていない酸素と事故の関係
 〓 純酸素のもとで起きたアポロ1号の火災
 〓 飛行機に積み込まれた危険な酸素
 〓 危険物質の存在を感知させるしくみ
 〓 安全装置がはずされていた核ミサイル
7 人間の限界が起こした事故
 〓 作業員のパニックとチェルノブイリ原発事故
 〓 睡眠不足がもたらす極端な能力低下
 〓 午前3時の作業でボルトサイズを間違える
 〓 潜水艦内の二酸化炭素中毒が事態を悪化させた
 〓 感情の暴走がもたらす人間の限界
 〓 パニック状態をさらに越えたとき起こること
8 事故の兆候を感じとる能力
 〓 前兆のない事故はない
 〓 しのびよる障害を止めるくふう
 〓 アポロ13号の酸素タンク内で起きたこと
 〓 兆候を敏感に感じとる能力を磨け
 〓 5時間ずれたら大惨事だった屋根の崩落
 〓 二階観客席崩落の危険に気付いた技師
 〓 倒壊の危機にあった摩天楼
 〓 「屋根にできた水たまり」をどうするか
9 危険にたいする健全な恐怖
 〓 爆発事故が起こることを前提に作られた工場
 〓 危険な事業を行う者は恐怖を直視する
 〓 ニトログリセリンとのつきあいかた
 〓 数百人もの死者を出した「肥料」の大爆発
 〓 ヘリで高圧線のメンテナンスをする人々
 〓 ヘリによる架線作業の現場
   …(安全な仕事が他に幾らでもあるのに彼らは何故そうした危険を受け入れるのか)一つの答えは、そうして危険と向かい合うことで心が透明になるからだ。…
 〓 あえて危険を侵さざるを得ない場合
10 あまりにも人間的な事故
 〓 「あ、しまった!」の一言で失われるもの
 〓 パレード見物客の列に突っ込んだ警察車両
 〓 オートマ車のペダル踏み間違いを防ぐ装置
 〓 警察車両は暴走事故を起こしやすい?
 〓 米国では毎年10万人が医療ミスで死ぬ
 〓 洋上石油掘削施設を爆発させた連絡ミス
 〓 成功と失敗を確実に共有していくシステム
 〓 いつでもどこでもミスは起こっている
 〓 権威が正しい行為を妨げるとき
 〓 判断を正しく行うための時間を作れ
 〓 退屈しのぎに危険を求める作業員
11 少しづつ安全マージンを削る人たち
 〓 インドの殺虫剤工場が起こした悲惨な事故
 〓 有毒ガスはなぜ撒き散らされたか
 〓 企業側が主張する「破壊活動説」
 〓 北軍将兵2000人を乗せて沈んだ蒸気船
12 最悪の事故を食い止める人間
 〓 危険な荷積みを強要された船長の一計
 〓 マシンが反乱を起こす条件とは何か
 〓 リーダーが自分の決定に責任を持つ方法
 〓 事故の原因は企画・設計の段階で生じる
 〓 常にもう一つの案を用意しておく
 〓 原潜の父リコーバーの七つのルール
 〓 長時間の内には確率の低い事故も起こる
 〓 上司に警告メモを渡すだけでは不十分
 〓 コンピュータを使えば状況把握は完全か
 〓 最後の最後まで諦めないことが大切
 〓 情報を封印することなかれ
 〓 マシンとの共生


 非常に多くの事故を列挙して、安全管理の本質を説いた書籍。リスク・マネジメントの観点からすると極めて穏当な事を述べているのだが、緊急事態において活躍する人々に焦点を当てているのは如何にもアメリカ人の筆者らしい。

 また、現代は機械の時代であり、大型機械を操作すると言うのは”マシンフロンティア”に立ち向かっているのだ、と言う言説もアメリカ人的なものだろう。だが、この表現は極めて深い意味で適切だ。フロンティアと言う用語は、筆者にとって一種の宗教的なものを意味するようだ。それは未知であるが故に、敬意を示すべき相手なのであり、奢りを排除すべき環境なのである。あらゆる危険事例とシステムに通暁した際に、禅のような、成すべきことを成すだけと言う境地になると言う筆者は、明らかにそこにある種の神を見ている。

 危険な仕事を好む人がいるのは何故かと言う点に関して、危険に直面すると心が透明になるから…と言うのは一種の離人感現象ではある。だが、それは開放性次元の一部とも理解できるものであり、同様に筆者がリスクに対してどのような態度を示しているのかの傍証になるだろう。

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